最近はもっぱら「考えたらまとめる、まとめたら考える」の方に色々書いています。

2009年08月17日

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上) / 村上春樹



高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。

今まで読んだ村上春樹作品の中で一番エンターテイメント性、物語性が強かった。
二つの物語が同時進行していくその構成も飽きを感じさせず、どんどん引き込まれるように読んでしまった。

以下気になった箇所。
私がとおされたのはがらんとした広い部屋だった。
その後この文章は部屋の説明へと続く。
僕はこの一文を読んだ瞬間、なぜか扉の前にあるついたてを想像してしまった。
校長先生の部屋にあるような、曇りガラスでできたついたてだ。
もしくはドアの前にあるガラスばりの壁。
それを避けて通ると部屋の中に入れる。

しかしそんな記述はどこにもない。
この後を読んでいくと、
部屋にはソファーや机やロッカーなどしかない。
ついたてなんかない。

でも僕は一文目でついたてを想像してしまったので、
その後そのイメージのついたてを消すことが非常に難しい。
とても不思議。

世の中の本読みはどれほど正確に情景をイメージできているのだろうか。
たとえば、一文目でついたてを想像してしまっても、
その後そういった記述がなければそのついたてを頭の中から消すことができるのだろうか。

そういう疑問が頭の中を駆け巡った。
そんな一文。

「この世界では誰もひとりぼっちになることなんてできない。みんなどこかで少しずつつながってるんだ。雨も降るし、鳥も鳴く。腹も切られるし、暗闇の中で女の子とキスすることもある」
仏教的。ちょっと勇気の出る一文。

引き続き下巻を読もう。


posted by イズミ at 13:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 小説レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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